ザクロの歴史/絵画に描かれたザクロ
近年、テレビや雑誌でとりあげられて、ざくろのすばらしさが多くの方に知られるようになりました。
しかし、このざくろのパワーはずっと古くからたくさんの人々に知られていたんですよ。
中国では、果皮を乾燥したものを石榴皮(セキリュウヒ)という漢方として重宝してきました。
また、古代ペルシャの貴族の女性たちは、その美しさを保つために、競うようにしてざくろの実を食べたそうです。
イスラエルでは、ソロモン王がざくろの果樹園を開いたといわれていますし、旧約聖書の中にもざくろは登場するんですよ。
洋の東西を問わず、世界中で好まれてきたんですね。
もちろん日本でも、平安時代の頃に伝わり、鎌倉時代には栽培も始まったそうです。
古くからお薬としても重宝されていたざくろですが、当時は現在のように成分を分析することも、体にどのように作用するのかが科学的に実証されていたわけではありません。
しかし、こうしてずっと伝え続けられているということは、ざくろを食べることで、実際のその効果を感じることができたからなのでしょうね。


古い絵画にざくろが描かれていることをご存知ですか?
15世紀に活躍したフィリッポ・リッピという画家が描いた『聖母子と聖アンナの生涯』という絵もそのひとつです。
やさしい表情の美しい母と、そのひざの上で無邪気に母を見上げるあどけない表情の赤ん坊の姿がとても印象的な絵画です。
見ていると、心がホンワカとあたたかくなってくるような絵の中で、母子の手に持たれているのがざくろなんです。
ざくろは、聖書や神話の中でも登場し、キリストの復活の象徴とされているとても重要な意味をもつ果物なんですよ。
また、生命の誕生や、清潔・清浄の象徴ともされています。
ほかに、ポッティチェリの描いた『石榴(ざくろ)の聖母』にも聖母と赤ん坊、そしてざくろが描かれています。
もしかしたら、今までにご覧になった絵画の中にも、ざくろがそっと描かれているかもしれませんよ。
